2017年5月20日 20:22   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    先日、日本経済新聞の一面に米国3M社が特集されていました。

    3M社といえば、ポスト・イットや研磨剤などで日本でもよく知られています。同社はアメリカの大企業ではありますが、我々日本の中小企業も大いに学ぶべき点があります。

    まず同社は、1959年から1年も途切れることなく増配を続けてきています。また配当そのものも100年以上継続しています。

    この間に大恐慌も第二次世界大戦もリーマン・ショックもありましたが、途切れることなく配当を続けてきているのです。

    同社のインゲ・チューリン社長によると、その要因は同社の経営の重要指標NPVI(New Product Vitality Index=新製品売上比率)だといいます。

    全売上高のうち、過去5年以内に発売した新製品が占める比率を示すもので、同社では25%を最低限の達成目標としています。

    現在は30%にもおよぶそうです。

    チューリン社長によると、既存の商品は陳腐化によって毎年4%程度売上が逓減していくそうです。その結果、5年経つと2割減少します。

    その穴を埋め、会社全体の売上高を押し上げるには、切れ目なくイノベーションを起こし、製品群の新陳代謝を活発にしなければならない、といいます。

    これは、我々 部品加工業の様な受託型製造業や、機械工具商社の様な生産財商社も同じことです。

    我々 部品加工業の様な受託型製造業や、機械工具商社の様な生産財商社の場合は、NPVI(New Product Vitality Index=新製品売上比率)ではなく、

    NCVI(New Custmer Vitality Index=新規顧客売上比率)が経営重要指標になります。

    私はリーマン・ショックの翌年2010年2月に、次の書籍を出版しました。

     

    ↓↓↓なぜこの会社には1カ月で700件の引き合いがあったのか?

    https://www.amazon.co.jp/%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%93%E3%81%AE%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AB%E3%81%AF1%E3%82%AB%E6%9C%88%E3%81%A7700%E4%BB%B6%E3%81%AE%E5%BC%95%E3%81%8D%E5%90%88%E3%81%84%E3%81%8C%E3%81%82%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B-%E7%89%87%E5%B1%B1-%E5%92%8C%E4%B9%9F/dp/4806136220

     

    この書籍を出版したきかっけは、リーマン・ショックの様な大不況においても、業績を落とさない、あるいは業績を落としてもいち早く立ち直る会社の共通点を見出したからです。

    それは前述の新規顧客売上比率が5%以上の会社、ということです。

    新規顧客売上比率とは、取引開始から1年以内の顧客の売上高を、全売上高で割り算したものです。

    5%というと、少ない、と感じるかもしれませんが、BtoBのルートセールスの場合、取引開始して2~3年で大口顧客に育っていくものです。従って取引開始で5%というと、なかなか大変な数値なのです。

    前述の米国3M社の場合、過去5年間に発売した新製品の売上比率25%が目標値です。

    私が提唱する取引開始1年間で5%という数値は、5年間で25%となりますから、奇しくも3M社が提唱する25%と一致します。

    ちなみに、米国3M社は売上高3兆円という超大企業であるにも関わらず、先期2016年12月期の営業利益率は24%にも及びます。

    自社製品をお持ちの会社の場合はNPVI(New Product Vitality Index=新製品売上比率)を、

    自社製品を持たない会社の場合はNCVI(New Custmer Vitality Index=新規顧客売上比率)を、ぜひ自社の重要経営指標としていただきたいと思います。




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    2017年5月14日 14:07   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    前回のコラムでもお伝えしましたが、我々は今、目の前には大きな氷山の様な「大不況リスク」に直面していますが、その先には50年に1度の大きなチャンスが我々を待っています。

    それが「AIゴールドラッシュ」です。

    かつてのソ連から西側に亡命した経済学者ゴンドラチェフの仮説、“ゴンドラチェフの波”によると、歴史的に世界は50~60年ごとに大きなイノベーションにより、パラダイムシフトを強いられます。

    実際、歴史を振り返ると、

     

    第一の波:1800年代 蒸気機関・紡績(英国)

    第二の波:1850年代 鉄鋼・鉄道・電信(米国)

    第三の波:1900年代 電気・自動車・化学・石油(米国)

    第四の波:1950年代 エレクトロニクス・原子力航空工学・コンピュータ(米国・日本)

     

    と、50年ごとに大きなパラダイムシフトが起きています。

    そしてそのパラダイムシフトに乗った人たちは巨万の富を築いています。

    では、第五の波はいつ来るのでしょうか?上記の年表でいくと2000年代、ということになりますが、実は今は世界中が20年にわたる“長期停滞(Secular Stagnation)”の中にいます。

    この“長期停滞”は19世紀末にスウェーデンの経済学者ヴィクセルが提唱した概念だそうですが、2013年11月のIMFの会議の席上、ハーバード大学のローレンス・サマーズ教授が問題提起したことで再び注目を集めるキーワードとなったそうです。

    実際、2016 年4月のIMFの世界経済見通しの副題は、“Too slow for too long”(余りにも長期にわたる余りにも緩慢な成長)と題されています。

    「失われた20年」という言葉がありますが、この長期停滞の20年を加味すると、第五の波は2020年代ということになります。

     

    第一の波:1800年代 蒸気機関・紡績(英国)

    第二の波:1850年代 鉄鋼・鉄道・電信(米国)

    第三の波:1900年代 電気・自動車・化学・石油(米国)

    第四の波:1950年代 エレクトロニクス・原子力航空工学・コンピュータ(米国・日本)

    ~20年にわたる長期停滞(Secular Stagnation)~

    第五の波:2020年代 AI・IoT・ナノテクノロジー・ロボティクス・生命工学(米国・日本)

     

    第五の波の中でも特に中心的存在となるのがAIです。

    つまりこれから、18世紀の産業革命の蒸気機関と同様に、AIが社会を変える中心的な位置づけになる、ということです。

    私はこれを「AIゴールドラッシュ」と呼んでいます。

    なぜゴールドラッシュなのか?

    前回のコラムでも述べましたが、18世紀にアメリカ西海岸で起こったゴールドラッシュで最も儲けたのは金の採掘者ではありません。

    金の採掘者に物資を供給した人たち。具体的にはジーンズを売ったリーバイスや、スープの缶詰を売ったキャンベルといった人たちです。

    今回の「AIゴールドラッシュ」も同じです。

    AIそのものはソフトウェアに過ぎません。従って一握りの天才的人物によって開発・拡販が可能であり、限界費用ゼロでいくらでもコピーすることができます。

    そうするとかつてのマイクロソフト、あるいは現在のグーグルの様にAIそのものは1強の寡占状態、あるいは全世界共有のコモディティになるかもしれません。

    ところが、AIを実現するためには実際にはハードウェアが必要です。

    例えば2030年にAIの市場規模は100兆円を超える、と言われています。この中で最も大きなマーケットとされるのが運輸・物流で約30兆円に上ります。

    この運輸・物流のAI化の中身とは、トラックの自動運転あるいは高度に自動化された物流センター、ということになります。

    さらに卸・小売りが約15兆円。例えば最近、スーパーにいくとセルフレジが非常に目立つ様になりました。レンタルビデオショップでも最近はセルフレジになっています。これも一種のAI化です。

    またFA(ファクトリー・オートメーション)が約12兆円。製造現場のAI化とは言い換えればロボット化・自動化ということになります。

    実際、こうしたAIゴールドラッシュを予兆するかの様な事象が身の回りで起きています。例えば、

     

    ・物流機器最大手のダイフクは2017年3月期 過去最高の営業利益を計上。米国アマゾン社への輸出が絶好調。

    ・ダイフク以外でも、AGVを手掛けるセットメーカーはどこも好調。理由は物流倉庫の自動化・効率化ニーズにある。

    ・有機EL製造装置最大手のキャノントッキは年商の2倍もの受注を抱えており、キャノングループをあげて増産に取り組む。

    ・ロボット用精密減速機メーカーであるハーモニックドライブは、生産能力の2倍を超える受注を抱えている。

    ・その結果、産業用ロボットの納期が昨年の2倍以上に伸びている。

    ・また日本電産グループもロボット用精密減速機のマーケットに本格参入してきており、関連の仕事が増えている。

    ・今まではほぼ売れなかった協業ロボットが、今年に入ってから実際に売れる様になった。ただし日本メーカーではなく、デンマークのユニバーサルロボットが売れている。

    ・米国の太陽光発電市場は2016年に過去最高の伸びを記録し、2015年の2倍近くの発電設備が接続された。

    ・その結果、これまでで初めて他のどのエネルギー源よりも多くの発電容量が接続された。今後も5年間で現在の3倍近くまで成長を続ける見通し。

    ・2017年3月の半導体の世界売上高は308億8000万米ドルだった。対前月比では1.6%増、対前年同月比では18.1%増と大きく伸びた。

     

    この様に、AIの周辺産業ともいえる、AIの手足となるハードウェアを担う会社は皆忙しくなっています。

     

    例えば5月18日(木曜日)に東京会場で、また6月2日(金曜日)の名古屋会場で開催予定の「金属加工業 脱自動車セミナー」でも、こうした話をお伝えしたいと思っています。

    ↓↓↓脱自動車セミナーの詳細はこちらから!

    http://www.funaisoken.co.jp/seminar/018367.html

     

     

    正確には脱自動車というよりも、脱内燃機関自動車ということです。

    AIによる自動運転あるいは部分的自動運転や、EVあるいはPHVが前提の次世代自動車は、明らかに現在と異なる技術が必要とされます。

    例えばアイシンAWも、この2017年3月期決算は売上1兆4311億円、営業利益は昨年対比21.7%アップの1229億円と、過去最高益を記録しました。

    同社はオートマチックトランスミッションという、エンジンよりも単価の高い精密なユニットをつくっています。

    先期の業績が絶好調の理由は、トヨタグループ以外からの受注が全体の6割を占めたことにあります。

    ドイツのフォルクスワーゲンをはじめ、世界中の自動車メーカーから同社の生産能力を超える受注が舞い込んでいるそうです。

    これは見方を変えると怖いことです。

    オートマチックトランスミッションといえば、内燃機関特有の部品です。EVになると必要なくなる部品の代表格です。

    つまり、フォルクスワーゲンなど、目ざとい世界の自動車メーカーは、将来無くなる可能性の高い、オートマチックトランスミッションの開発をやめ、外からの購入に切り替えた、との見方もできるわけです。

    もちろん、内燃機関がゼロになることは当面ないでしょう。

    しかし内燃機関マーケットだけに依存する、というのは明らかに経営的にリスクであり、誰がどう考えても避けるべきだと考えるのは、私だけではないでしょう。

    それよりもこれから、AIゴールドラッシュにより、国内の自動車産業と同等、あるいはそれを上回る可能性のある新たな産業が生まれようとしています。そちらに目を向けることが、これから70年に1度のチャンスをものにすることにつながるのではないでしょうか。

    「金属加工業 脱自動車セミナー」でお伝えしたいことは、そういうことです。




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    2017年5月7日 22:37   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    今年2月に出版された「財政破産からAI産業革命へ(PHP研究所:吉田繁治 著)」を読みました。

    同書によると現在の日本経済最大のリスクは1300兆円にも及ぶ日本の政府部門負債であるといいます。これはGDPの約2.5倍であり、先進国を含むあらゆる国と比較しても突出した異常な数値です。

    ところがかつて、現在の日本同様にGDPの2.5倍もの負債を抱えていた国がありました。

    第二次世界大戦後の英国です。

    英国はこの膨大な負債を国家破産せずに減らすため「金融抑圧政策」といわれる政策をとりました。

    これは金利を0.5%以下の低金利に押さえる一方、インフレ目標を3~4%と政策金利よりはるかに高い数値に設定する、というものです。インフレになれば国の借金は事実上減っていきます。

    逆にGDPの2.5倍もの負債(国債)があると、金利2%で財政危機に、金利3%で国家破産するといわれています。

    なぜ国家破産するのかというと、国債の金利の支払いが国債の発行だけで賄えなくなり、政府部門からの支払いができなくなるからです。

    ちなみに英国の場合、この「金融抑圧政策」が功を奏し、現在の英国の国債残はGDPの0.8倍と、米国・フランス並みの水準まで下がっています。

    ところが「金融抑圧政策」は国民生活の貧困という副作用を生み出します。英国の場合は「英国病」と呼ばれた経済の衰退を招きました。

    戦前までは米国経済なみに大きかった英国経済は、現在では戦前の1/8までに落ち込んでいます。

    そして同書によると、日本は、

    早ければ2018年から19年に、遅くとも2020年から21年に70%の確率で財政破産する。

    ただし30%の確率で財政破産しない。

    その場合、日銀は国債を買い続けながら金利を無理に低く維持する「金融抑圧」を数十年にわたって続けることになる。

    と、いいます。

    昨日の日経新聞を読むと、アメリカの国務長官が「日本の為替安には我慢ができない」と発言した、と報じられていました。

    今、日本の円が円安になっている要因は、日銀のゼロ金利政策にあります。仮にこのゼロ金利政策が国際的に批判され、何らかの理由で政策金利を引き上げざるを得なくなると、前述の様に日本は国家破産に向けて突き進むことになります。

    それが同書の前述の未来予測への論拠となっています。

    私は思います。未来のことは誰も予測できません。

    しかし組織トップの最大の仕事は「危機管理」にあります。

    ひとつハッキリしていることは、これから間違いなく不況が来る、ということです。なぜなら好況がずっと続くということはありえないからです。

    今、船井総合研究所では全社を挙げて、顧問先企業様あるいは会員企業様への「高収益化」の提案に取組んでいます。

    その理由は2つあります。

    1つ目は来るべき大不況に備えること。不況が来ると売上が下がります。利益率が低いと売上が下がるとすぐに赤字になります。

    赤字になると固定費の削減をせざるを得なくなります。

    ですから不況がきても簡単には赤字にならない様な、高収益な会社を今のうちにつくる必要がある、ということなのです。

    2つ目は次の時代を生き残れる体質改善、すなわち会社のモデルチェンジのためです。モデルチェンジにはお金がかかります。

    ですからまずは自社を儲かる状態にしておかなければならない、ということなのです。

    次の時代で中心的な存在になるのが同書によると「AI」です。

    同書によると18世紀の産業革命の際の「蒸気機関」と同様に「AI」が21世紀の産業革命の中心的役割を担う、といいます。

    IBMやグーグルの様に「AI」そのものを手掛ける、というのも時代の波に乗る方法です。

    しかし同書でも述べていますが、「AI」そのものはデファクトスタンダード化、あるいはコモディティ化する可能性が高く、インターネットの検索エンジンと同じく、業界1強の過酷な競争になる可能性が高いと思われます。

    ここで私が思い出したのが18世紀のアメリカのゴールドラッシュです。ゴールドラッシュで一番儲けたのは金の採掘者ではありません。

    金の採掘者に対してジーンズを供給したリーバイスや、金の採掘者にたいして缶詰を供給したキャンベルスープなどなのです。

    「AI」産業革命も同じです。

    これから「AI」産業革命で必要とされる周辺産業として下記を挙げることができます。

    ・センサー・MEMS

    ・電子部品

    ・カメラモジュール

    ・半導体製造装置

    ・バッテリー

    ・ストレージ機器

    ・ヘッドアップディスプレイ

    ・有機EL

    ・液晶

    ・真空技術

    ・ロボット

    ・精密減速機

    ・モーター

    ・FA機器

    ・マテハン機器

    ・各種産業財 その他

    こうした「AI」産業革命、あるいはIoTに不可欠な周辺産業を多角的に攻めることが。2020年から本格的に始まる「AI」産業革命の波にのることだと私は思います。

     

    なお、この5月に東京・名古屋・大阪で開催されるファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会 5月度定例会は、自社の高収益化と来るべきチャンスをものにするための、

    ~普通の町工場がイノベーションを起こす方法!~

    今、そこにある人と技術で勝負する!

    がテーマです。

    現在の好況は、自社の実力で「売っている」のではなく、ただ「売れている」だけの可能性があります。

    今回、上記定例会で特別ゲスト講師としてお招きしている三重県四日市市の株式会社伊藤製作所様の場合は、明らかに次の時代を生き残るモデルチェンジに成功されているモデル企業の1社です。

    自社の実力できちんと「売っている」のか、あるいは好況下でただ「売れている」だけなのか、きちんと見極めて手を打つ必要があると思います。

    本定例会は1社1回に限り“無料お試し参加”が可能です。

    今回のコラムの詳細につきましても、この5月度定例会の中で詳しくお伝えしたいと思います。

    ぜひ下記URLから詳細をご確認いただければと思います。

    ↓↓↓5月度定例会 無料お試しご参加のご案内はこちら

    https://www.funaisoken.ne.jp/mt/factory-business2/100567.html#_ga=2.60588843.706302033.1494163038-845576960.1487413431




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