2018年4月15日 15:48   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    <第13回目:人を増やさず利益を増やす、マーケティング・オートメーション>

     

    人を増やさず利益を増やす、「営業のデジタル化」の中心ツールとなるのが、マーケティング・オートメーションと言われる米国発のシステムです。

    マーケティング・オートメーションは米国で2004年ごろに生まれ、日本でも2014年ごろから導入が進みました。

    ただし当初は月額数十万円、年間数百万円ものランニングコストのかかる、大手企業しか導入できない高価なシステムでした。

     

    例えば某大手センサーメーカーは、このマーケティング・オートメーションを導入しています。

    この某大手センサーメーカーのメルマガを受け取り、その後例えば測定機のページを閲覧すると、この某大手センサーメーカーから電話が入ります。

    「もしよろしければデモ機がありますが、いかがでしょうか?」と。

    一般的な測定機メーカーは商社を介してのルート販売がメインです。同社の場合はデジタルテクノロジーを駆使して、直販をメインで行っています。

    その結果同社の売上高は4000億円を超えているにもかかわらず、なんと53%もの営業利益率を叩き出しています。

    これは従業員1人あたり4000万円近い営業利益額です。

     

    例えばトヨタ自動車の場合、営業利益額は2兆円ですが、従業員は36万5000人おり、1人あたり営業利益額は550万円前後です。

    いかに、この某大手センサーメーカーの生産性が高いかわかります。

     

    この様に、従来は金銭的にも人的に大きなリソースを持つ大手企業しか導入できなかったマーケティング・オートメーションですが、ここ2年くらいで、零細・中小企業でも導入できるクラスの国産マーケティング・オートメーションが普及してきました。

     

    具体的に、筆者がコンサルティング先に導入を推奨している国産のマーケティング・オートメーションの場合、導入費用はわずか1万円、その後の月々のランニングコストも数万円未満(保有リスト数により費用が異なります)という、低価格です。

     

    例えば下記の様な成功事例があります。

     

    筆者の関係先のプレス加工会社(従業員100名)は、深絞り技術に強みを持つプレス加工会社です。

    同社では前述の国産のマーケティング・オートメーションを導入し、大きな成果を上げています。

    同社では毎月1回、プレス加工技術ニュースというタイトルでメールマガジンを約1000件前後、既存顧客ならびに過去の名刺交換先・展示会での獲得名刺に対して送付しています。

     

    そして同社ではマーケティング・オートメーションを導入している結果、メルマガ配信先のうち、誰が開封したかが手に取る様にわかります。同社のメルマガの開封率は約30%です。

     

    また、マーケティング・オートメーションにより、メルマガ配信先のうち、誰が自社のホームページのどのページを閲覧したかも手に取る様にわかります。

    同社では、自社のホームページの各ページに次の様な点数設定をしています。

     

    技術情報のページ・・・1回閲覧で0.5点

    製品事例のページ・・・1回閲覧で2点

    自社の特徴ページ・・・1回閲覧で3点

     

    そして10点を超えるスコアの顧客がでてきたら、その顧客に対して営業をかけることを同社ではルール化しています。

    技術情報のページばかりみている顧客は「情報収集」が目的であり、具体的な検討段階でない可能性が高いです。

    ところが具体的な「比較検討」の段階に入ると、製品事例を特にチェックする様になります。さらに「見積り取得」の段階になると、その会社の情報はもちろん、特徴にも関心を持つ様になります。

    こうした“顧客心理”に基づいて、上記の様なスコア設定を行っているのです。

     

    そして先日、10点を超えるスコアの新規顧客が出てきたので、同社の社長がTELアポの電話を入れました。

    その新規顧客とは、大手の某産業機器メーカーです。

    「ちょうど近くに伺うものですから、ご挨拶もかねてご訪問したいのですが・・・」という同社社長のアポの電話に対して、この新規顧客の担当者は、

    「いえ、実はちょうど深絞りのプレスを検討していたのです」「ちょうどタイミングがよかったです!」と、あっさりアポが取れました。

     

    前述の通り、マーケティング・オートメーションを導入していると、顧客がどのページをどれだけ閲覧しているか手に取る様にわかります。

    ですから、筆者の関係先のプレス加工会社の社長は、この新規顧客が閲覧したページに類する事例ワークをあらかじめ準備しておきました。

     

    そして営業訪問し、こちらが事例ワークの説明をすると相手の担当者は驚き、

    「いえ、実はそういうワークを検討していたんです!」

    「いやー、タイミングがいいなー。」

    と、商談はとんとん拍子に進んでいきました。

     

    そして見積り依頼をもらい、この社長の帰り間際、相手の担当者が次の様な発言をしました。

    「ところで、今日は、こちらから呼んだんでしたっけ?それとも、ご連絡をいただいたんでしたっけ?」

    社長は「今日は、こちらからご連絡を入れさせていただきました」

    すると相手の担当者は「いやー。それにしても、凄いタイミングですね。これも何かの縁ですね」と。

     

    その後、この筆者の関係先のプレス加工会社は、この新規顧客から商談を受注し、口座開設・新規取引に至りました。

     

    この様に、情報収集・比較検討に時間を要し、複数のキーマンが介在する部品加工業界、あるいは生産財業界ほどマーケティング・オートメーションの親和性が高いのです。

     

    逆に単価が安く、買うか買わないかを個人の一存で決定する様な一般消費財などへの販売には、マーケティング・オートメーションは向きません。

     

    いずれにしても、こうしたマーケティング・オートメーション。

    もっといえばデジタルテクノロジーということになりますが、「知っているか」「知らないか」ではビジネスに大きな差が開きます。

     

    かつて、旧日本海軍は戦艦や戦闘機の開発に最も資金を投入しました。それに対して、米・英軍が最も資金を投入したのは、実はレーダーの開発です。

    英軍がバトル・オブ・ブリテンでナチスを打ち破ったのも、レーダーを持っていたからです。旧日本海軍が敗れた要因もいろいろと挙げられていますが、その中で主要な1つはレーダーの有無です。旧日本海軍は優秀な甲板員が目視、あるいは測距儀など光学兵器で敵を探索していました。

     

    従来の営業手法を「目視」による探索に例えるなら、マーケティング・オートメーションは「レーダー」による探索に例えることができます。その威力の違いは一目瞭然です。

    ライバルに差をつける為にも、もっというとライバルに差をつけられないためにも、この「最新兵器」の概要を、特に経営者の方に押さえていただきたいと私は考えています。

     

    そこで、このマーケティング・オートメーションを生産財業界に広げるため、下記の様な無料のオンラインセミナーを企画いたしました。

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    ~次回に続く~

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    2018年3月20日 17:04   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    今、高級車メーカーのフェラーリが絶好調なのだそうです。

    フェラーリはイタリアの大衆車メーカー、フィアットの傘下だったわけですが、一昨年の1月にそこから分離・独立して現在に至ります。

    ちなみに高級車やスポーツカーメーカーというのは、その大半が大衆車メーカーの傘下にあります。

    例えばロールスロイスの高級車部門はBMWの傘下ですし、ランボルギーニはフォルクスワーゲンの傘下です。ポルシェもフォルクスワーゲングループですし、ジャガーもインド・タタ自動車の傘下です。アストン・マーチンもかつてはフォードの傘下にありました。
    狼やトラ、あるいはライオンや鷹など、動物の世界でも「強い」とされている動物ほど絶滅危惧種になってしまう、のと似ていると私は思うわけですが、高級車は必需品でないだけに景気の波を受けやすく経営の永続が難しいわけです。

    そうした中、フェラーリはフィアットから独立し、現在は業績も絶好調とのこと。
    その理由はなぜなのか?

    私は一言で言って「バブル」だと思います。

    株高バブルで資金を手にした人たちがいる結果、フェラーリの様な高級車が売れている、と捉えているのは私だけでしょうか。

    例えばEVで著名なテスラも一種のバブルでしょう。創業してから一度も黒字になったことがありませんが、時価総額ではいまやGMを抜いています。
    金利がマイナスで世界中に資金がだぶついている結果、こうした次世代銘柄の会社に資金が集まっているわけで、これも見方によってはバブルです。またテスラだけでなく、大赤字にも関わらず市場から莫大な資金を集めている新興企業が、数えきれないほどたくさんあります。

    こうした新興企業の信用が崩壊し、バブル崩壊に至ったのが2000年のITバブル崩壊です。

    今回のバブルはITバブルだけでなく、史上最高額の“ものづくり補助金”など「補助金バブル」もあります。2010年に家電エコポイントバブルが弾け、液晶不況に突入した際に生産財業界も大きな影響を受けましたが、今回は前回のITバブル崩壊と、液晶バブル崩壊を足し合わせた様な手ひどいバブル崩壊が生産財業界を襲う、と考え、かつ備えておくことが、今の経営者の最大の仕事だと私は思います。

    では、最大の不況対策とは何か?

    それは「取引先に依存しない」ことです。言い換えれば確固たる自社のビジネスモデルを築き上げる、ということです。
    そうして点で、日経トップリーダー3月号に興味深い特集がされていました。その特集とは「取引先の見切り方」というテーマです。

    この特集の中で取り上げられていたのが、船井総研 ファクトリービジネス研究会 部品加工業・セットメーカー経営部会の会員企業でもある、群馬県高崎市の群協製作所(従業員48名)です。
    同社の最初の主力商品は継手でした。ところが継手は需要が減少したこともあり、安値が定着して儲からない製品になってしまいました。そこで継手より高く売れる成長分野の製品を見つけ、その新たな製品の販売に力を入れます。
    その中で、顧客ごとの利益率をチェックし、儲かっていない先については値上げの申し入れを行いました。値上げの申し入れをすると、多くの場合、取引先から切られてしまいます。

    ですから、群協製作所は新規開拓に力を入れました。
    同社は新規開拓の成果もあり、ここ5年間で売上を4億2000万円から6億3000万円に伸ばしました。かつ、従業員48名の町工場であるにも関わらず、全国に4000社以上の顧客を有しています。
    この様に、継続的な新規開拓が行えているからこそ、同社は値上げのお願いができるわけです。

    群協製作所ではこうした一連の取組みにより、わずか2~3%にすぎなかった営業利益が、現在では15%程度にまで向上しています。

    こうした新規開拓を継続的に行える「仕組み」のことを、ビジネスモデルといいます。
    私が考えるに、ビジネスモデルには次の2段階があると思います。

    第1段階:自社の強みを見つける段階
    第2段階:自社の強みを前面に伸ばして儲ける段階

    生産財業界は市場からの情報が全てです。ビジネスモデルとは、顧客はもちろんのこと、市場からのニーズ、情報、特に自社製品のヒントになる様な「お宝情報」が自社の命運を決します。

    群協製作所様の場合も、市場の「お宝情報」をもとに新たな製品をつくり、それを継手に変わる次のビジネスに伸ばすことができたからこそ、売上と利益を増やし、特定顧客・業界に依存しないビジネスモデルをつくることができたのです。

    そして今回、群協製作所の遠山社長をお招きし、同社の取組みについてご講演いただく経営セミナーを企画いたしました。本経営セミナーの詳細は下記の通りとなっています。
    またとない貴重な機会かと思いますので、ぜひご参加をご検討いただければと思います。

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    セミナーを開催いたします!!
    特別ゲスト:株式会社群協製作所 遠山 昇 様
    機械部品製造業「社長の仕事」、人を増やさず利益を増やす方法

    <日程・場所>
    ◆4月11日(水)船井総合研究所 五反田オフィス
    <時間>
    ◆13:00~17:00(受付12:30)

    ↓↓↓セミナーの詳細・お申込みはこちら
    http://www.funaisoken.co.jp/material/factory-business/030191_lp.html

    経営者の方限定、先着25名様限定のセミナーです。
    機械部品・要素・材料メーカー生産性向上セミナー
    <プログラム>

    ◆第1講座:残業無しで売上を伸ばす我が社の超効率経営の秘密
    ・なぜ残業無しで3年間で年商4億2000万円から6億3000万円に伸びたのか?
    ・外勤1名・内勤6名のセールスで全国4000社の顧客を維持する超効率経営
    ・真の働き方改革とは、労働時間を減らして利益を増やすこと!

    【講師】株式会社群協製作所 代表取締役 遠山 昇様
    ◆第2講座:
    生産財業界は営業のデジタル化で儲けなさい!!
    ・人に頼らず新規営業案件を増やす、マーケティング・オートメーション
    ・営業コストを下げて売上を上げる、マーケティング・オートメーション
    ・最小限の営業人員で最大限の成果を出す、マーケティング・オートメーション

    【講師】カイロスマーケティング株式会社
    ◆第3講座:
    人を増やさず利益を増やす、ビジネスモデルのつくり方

    ・人は増やさず、付加価値率10ポイントアップを目標とするビジネスモデル
    ・IoT・AI関連市場等、成長市場・優良顧客にアプローチできるビジネスモデル
    ・成熟業界でも社員を前向きにし、組織を活性化させるビジネスモデル

    【講師】 株式会社船井総合研究所
    上席コンサルタント 片山 和也/外山 智大
    ◆第4講座:
    明日からすぐに取り組んでいただきたいこと
    ・いつまで続く現在の活況?この次の不況に備えておくべきこと
    ・社員を1名も増やさず、新たなビジネスモデルを構築する方法
    【講師】株式会社 船井総合研究所
    上席コンサルタント 片山 和也

    <費用>
    一般企業:30,000円(税抜)/ 会員企業:24,000円(税抜)

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    2018年3月18日 15:39   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    今年も4月22日から1週間、グレートカンパニー視察セミナーが開催されます。今回の視察先はドイツです。

     

    ドイツといえば日本と比べて、生産性が極めて高いことで知られています。

     

    例えばドイツの労働時間は日本よりも2割近く少ないですが、国民1人あたりの付加価値は、日本が時間あたり39.4ドルなのに対してドイツは53ドルもあります。

     

    つまり労働時間は2割少ないのに対して、生産性は1.4倍近くも高い、という驚異的な結果がでているのです。

     

    そして私が考えるに、ドイツ生産性が高い理由は次の4点です。

     

     

    まず1つ目は国を挙げてデザインを重視している、ということです。

     

    今では信じられない話ですが、かつてのドイツ製品は「安かろう悪かろう」で、当時世界No1だったイギリス製品の6割程度の価格でないと商品が売れませんでした。

     

    そこで「ならばデザインで差別化しよう!」と世界で初めての工業デザイン専門学校をつくるなど、国を挙げてデザインに取り組みました。ドイツ製品はデザインが優れている結果、それが付加価値につながっています。

     

     

    2つ目に日本とは比較にならないほど戦乱の歴史があり、国民も政府や貨幣を日本ほど信用していない、ということです。

     

    では何を信用しているのかというと、自社が生産する「商品」ということです。

     

    仮に貨幣の価値が無くなっても、自社の「商品」に普遍的な価値を持たせることができれば、自身の財産を保全することができます。

     

    そうしたことから、ドイツ企業は日本企業以上にブランドの構築に熱心です。

     

     

    さらに3つ目のポイントとして、女性の社会進出を挙げることができるでしょう。

     

    日本では3歳未満の子供を持つ女性の就業率は25%に過ぎませんが、ドイツでは65%にも及びます。これはデイケアと言われる高い社会保障制度がその背景にあるのですが、この点も日本と大きく異なるところです。

     

    そして私が最も重要だと思う4つ目のポイントが、宗教性です。

     

    実はドイツは宗教性がビジネスに大きく及んでいます。例えばハノーバー市内には高層ビルがありません。それは同市の法律で、教会よりも高い建物を建てることが禁止されているからです。

    またドイツではキリスト教の考え方にのっとり、デパート等の商業施設も日曜日は原則休みです。

     

    さらにドイツはプロテスタントの国であり、プロテスタントの考え方は、職業とは神から与えられた召命を果たすためのものです。

    このあたりの考え方は、社会学者のマックス・ウェーバーが、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」という著書の中で説明しています。

     

    いずれにせよ、ドイツは教会を中心とした、宗教を中心としたコミュニティがしっかりと根付いており、こうしたコミュニティの存在と信仰が、生産性を高めていると私は捉えています。

     

    日本は宗教的コミュニティが全般に希薄ですが、日本人にとって最も重要なコミュニティは一昔前であればムラ(村)であり、現在でいえば会社です。

    日本人は残業が好きですが、その理由はこのあたりにあるのではないでしょうか。

     

    ちなみにアメリカはどうでしょうか。現在のアメリカにおいて宗教的コミュニティは希薄になっています。また会社もドライな組織であり、コミュニティとして機能していません。

    現在、アメリカでは一般市民の薬物中毒が大きな社会問題になっていますが、こうしたコミュニティが希薄化していることが要因だと私は捉えています。

     

    話を日本に戻しますが、こうして比較してみると日本人にとっては会社がコミュニティです。

    実際、日本においても高生産性の会社、あるいは好業績の会社というのは、ある意味宗教的であり、言い換えればコミュニティが機能している、ということなのです。

     

    「日本は会社がコミュニティ」、この視点を持ちつつ、ドイツ企業から日本企業が取り入れるべき点を学んできたいと思っています。




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