2017年7月16日 13:10   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    老舗の流儀 虎屋とエルメス(新潮社 黒川光博・齋藤峰明 著)という本があります。

    同書を読むと「企業をいかに永続させるか」のヒントを、数多く学ぶことができます。特に部品加工業などの製造業には学ぶべきポイントが多々あります。

    まずエルメスは、「ピンチをチャンス」にして世界的企業に成長しました。

    エルメスはもともと1837年に創業した馬具工房でした。

    ところが、自動車の普及を目の当たりにした孫で三代目のエミール・エルメスが多角化を決意し、バッグや腕時計、装身具や服飾品などのデザインから販売まで手掛ける様になったのが、現在のエルメスです。

    多くのブランド企業が大企業資本の傘下に入る中、エルメスは同族経営で知られ、現在は創業者一族の六代目が同社を率いています。

    そして実はエルメス本社の副社長は長年日本人で、齋藤峰明氏という人物でした。同氏があるインタビューの中で「エルメスの神髄はものづくりにある。もしライバル企業を挙げるとすれば、日本の老舗和菓子屋『虎屋』である」と語ったそうです。

    このインタビューがきっかけとなり、虎屋十七代目の当主、黒川光博氏との対談の内容が同著なのです。

     

    両社に共通していることは、「売るためのマーケティング」は行っていない、ということです。ではどの様にして新しい商品を世の中に送り出しているのでしょうか?

     

    エルメスの場合は年に二回、大きな展示会を行っています。その展示会では職人が作った新商品が20万点ほど並べられるそうです。そしてそれを徹底的に吟味して、そのうち実際に店頭に並ぶのはほんの二割程度、だといいます。

    虎屋の場合は「味は変えないのですか」とよく聞かれるそうですが、「味は変わるものだ」との信念のもと、「おいしいものって何だ?」という基準を常に追い続けているといいます。

    また今から10年ほど前、エルメストートと呼ばれた、シンプルで手頃な価格のトートバッグが、日本でも大流行しました。

    これはもともと、南仏のヴァカンス地で使われることを想定したもので、ホテルからビーチまで、タオルを入れてもっていくための商品だったそうです。

    ところが日本ではタウン用として爆発的に売れてしまい、「初めてエルメスのバッグを持つことができた」というお客も多かったそうです。

    本来とは異なる使い方で広がりすぎ、誤解を生んでいることを問題視した同社では、熟慮した結果、五年目に発売中止に踏み切ったそうです。

    虎屋でもキャンディーの様な羊羹など、新商品は数多く投入しているそうですが、これらの大半は「期間限定」であり、「定番商品」にはほとんどがなり得ないそうです。

    新しい技術をものにするためには「期間限定」への取組みは大事だけども、「定番商品」にするには徹底的な吟味が必要、ということなのです。

    この様に、「売るためのマーケティング」ではなく、「商品開発のためのマーケティング」に命をかけているのが両社であり、その結果、両社は老舗企業として現在でも繁栄を続けているのです。

     

    そして、我々 部品加工業は「自社商品」というものを持っていません。良く言えば「受託型製造業」、悪く言えば「下請け」です。

     

    では、部品加工業はどんな「自社商品」を開発したら良いのか?

     

    例えば自社の加工技術を応用して、置物などのインテリアや雑貨などの「BtoC商品(=一般消費者向け商品)」を自社商品として開発しているケースが散見されますが、私は部品加工業にとって「BtoC商品」というのは「期間限定」にすぎず、「定番商品」にはなり得ないと考えています。

     

    では部品加工業にとっての「定番商品」とは何か?

     

    それは「BtoB商品(=法人向け商品)」です。

     

    新規事業で気をつけなければならないことの鉄則は、BtoB企業がBtoC事業を手掛けても、大半が失敗する、ということです。

    例えば建材問屋や工事会社といったBtoB企業が、リフォームなどのBtoC事業に手をだしても、ほとんどがうまくいきません。

    またスーパーや量販店を相手にしていた食品会社が、一般消費者相手のレストランやショップを開いても、ほとんどがまず赤字事業です。

    このあたりの話は、拙著「法人営業のズバリソリューション(ダイヤモンド社)」に詳しく書いていますので、そちらをご覧いただきたいと思いますが、要するに部品加工業の様なBtoB企業が自社商品をつくるならば、きちんとBtoB企業を対象とした商品をつくらなければならない、ということです。

     

    そうした具体的な話やノウハウ・参入に必要な「商品開発のためのマーケティング」のステップについて詳細にお伝えするのが、2017年8月4日(金)に開催する、「金属加工業メーカー事業立ち上げセミナー」なのです。

    ↓↓↓金属加工業メーカー事業立ち上げセミナーの詳細はこちら!

    http://www.funaisoken.co.jp/seminar/019501.html

     

    前述の通り、「定番商品」をつくるのは普段の事業活動だけでは不可能です。

    エルメスは20万点の展示会を年に二回開催していますし、虎屋はその為にTORAYAカフェを展開したり、期間限定商品に敢えて取組んだりしています。

     

    今回の「金属加工業メーカー事業立ち上げセミナー」では、そうした部品加工業にとっての「定番商品」のつくり方についてお伝えしたいと思っています。




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    2017年7月8日 20:36   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    前回のコラムからの続きとなりますが、「人財戦略」とは、小規模・中小企業であっても優秀な人材を獲得し、育成・戦力化していく仕組みのことです。

    そうした中、多くの企業にとってネックになっているのが「採用」です。今現在、仕事で困っている会社は少ないと思いますが、採用で困っていない会社はまず無い、といってよいでしょう。

    ところが、零細・中小企業でも毎月10件以上の求職応募を獲得することができる、ほとんど世の中に知られていない画期的な方法があります。

     

    それが「自社採用サイト」の構築と、「indeed」とのクロスメディア(=連携)です。

     

    ではindeedとは何でしょか?

     

    例えば、Googleはホームページの検索エンジンです。そしてYoutubeは、動画の検索エンジンです。

     

    それらに対して、indeedは求人情報の検索エンジンだと考えていただくとイメージがしやすいと思います。米国コネチカットに本社があり、この10月のグレートカンパニー視察セミナーでも訪問先の1社となっています。

     

    indeedは世界一の求人情報検索エンジンなのです。

     

    では、なぜindeedが良いのでしょうか?それは今の時代、仕事を求めている求職者も、例えば「NCオペレーター 神奈川 求人」など、こういったキーワードをインターネットに打ち込んで転職先を探すケースが非常に増えているからです。

     

    特に製造業の場合は、こうした探し方をするケースが増えています。

     

    そしてindeedは、こうした検索に対してどのサイトよりも確実に上位表示される様になっており、その結果、indeedとクロスメディアがうまくいっている自社採用サイトに求職者からの応募が殺到することになるのです。

     

    次の様な成功事例があります。

     

    例えば船井総合研究所の部品加工業向け経営勉強会、ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会 会員企業でもある       プレス加工業F社(従業員数41名)の場合、この10ヶ月強で138名の中途採用の応募を受け付け、うち20名を面接し、そのうち3名の大手企業出身・即戦力人材も含めた優秀な人材の採用に成功しました。

    そんな同社が活用したのがindeedと、それに対応する自社採用サイトというダイレクトリクルーティング手法です。

    従来は業界経験のある即戦力人材を採用しようとすると、高額な費用を払って採用媒体サービスを使うか、あるいは業界に通じた専門エージェント会社を使うしかありませんでした。

    あるいはハローワークです。ところがF社の場合、ハローワークでは1年間でわずか2名しか面接までいきませんでした。

    ところが製造業の場合は前述の通り、求人者が直接インターネットに「プレス加工 オペレーター 求人」や「板金設計 求人」など、あるいはこうしたキーワードに地域名をプラスして直接検索エンジンで転職先を探すケースが増えています。

    こうしたマーケットの場合はダイレクトマーケティング手法が極めて有効です。費用的にも1/5~1/10くらいのコストで採用が可能になります。

    しかも、ハローワークからの求職者の多くが既に離職しているのに対し、indeedの場合は大半が在職者であり、「人材の質もindeedの方がよい」という声が、前述の会員企業様の声として大勢を占めています。

    F社の自社採用サイトには、今でも毎月15件近くの応募が求職者からあり、毎月コンスタントに2~3件を行っています。

     

    こうした話をすると、なかには「indeedは使ったけど、それほど成果が上がらなかった」と言われる方がおられます。

    indeedを使っても成果があがらない理由は簡単です。

     

    それは自社採用サイトに問題があるのです。

     

    あるいは、自社採用サイトそのものを持っていないケースもある様です。それではindeedを使っても成果はでません。

    indeedには一定のルールがあります。例えばindeedに対応する6職種を自社採用サイトに設定しておくことなど、Googleにも検索表示順位に一定のルールを設けているのと同様、当然のことながらindeedも、採用サイトに対してのルールが決まっています。そのルールに準拠しなければ、いかにindeedを使っても成果はほとんどあがりません。

    こうした自社サイトによる直接的な採用のことを、「ダイレクトリクルーティング」といいます。そしてindeedは、この「ダイレクトリクルーティング」を後押ししてくれる強力なツールです。

    この「ダイレクトリクルーティング」こそ、社長として押さえておくべき人財戦略の第一歩ではないでしょうか。

     

    そして船井総合研究所ファクトリービジネスグループでは、製造業ならびに生産財商社向けに培ってきた「ダイレクトリクルーティング」のノウハウを、この9月に開催するセミナーで、皆様にお伝えしたいと考えています。

     

    前述のプレス加工業F社の社長を特別ゲスト講師として、船井総合研究所主催にて、“部品加工業「人手不足」対策セミナー”を、来る9月5日(火)に東京会場にて、9月13日(水)に大阪会場で企画することになりました。

    また生産財商社向けには、9月25日(月)に東京会場にて“工場マーケット商社「人手不足」対策セミナー”を企画いたします。

    上記セミナーの詳しいご案内は、後日本メールレポートでもお伝えさせていただきます。上記セミナーも経営者の方限定となりますので、ご関心のある方は今から日程の確保をお願いしたいと思います。

     

    あるいはお急ぎの方は、下記 ファクトリービジネス.COM の経営相談フォームより、無料経営相談(ただし経営者の方限定です)をご活用ください。

     

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    毎月先着7名様限定!無料経営相談

     

    船井総合研究所ファクトリービジネスグループでは、毎月先着7名様限定で、無料経営相談を受け付けております。

    上記、ダイレクトリクルーティングについてのご相談は、下記フォーム お問合わせ内容 の項目に、「採用についての相談」あるいは「ダイレクトリクルーティングについての相談」と明記ください。

    なお恐れ入りますが、本無料経営相談は経営者の方限定です。

    ↓↓↓無料経営相談お申込みフォームはこちら

    https://www.funaisoken.ne.jp/mt/factory-business/inquiry.html#_ga=2.255552013.426300213.1499512405-845576960.1487413431

     




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    2017年7月2日 21:13   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    7月7日に京都で開催する 部品加工業「社長」の仕事視察セミナー が非常にご好評で、現在 キャンセル待ちとなりました。

     

    http://www.funaisoken.co.jp/seminar/020197.html#_ga=2.228021470.2118656102.1498993448-845576960.1487413431

     

    今回の「社長」の仕事視察セミナーで見るべきポイント、そしてこの視察セミナーで私がお伝えしたいことは、実務的にいって 社長の仕事 は大きく次の2つ、だということです。

    それは、

     

    1.事業戦略をつくり、実行していく

    2.人財戦略をつくり、実行していく

     

    と、いうことです。

     

    事業戦略 とは、新たな顧客をドンドン創造していくことです。あるいは新商品をドンドン創造していくことです。

    生産財商社や受託型加工業の様に、自社ブランドを持たない会社の場合は、新たな顧客をドンドン創造していくことが 事業戦略 ということになります。

    20世紀を代表する経営学者、ドラッガー氏は「企業の目的は顧客の創造である」と喝破しました。

    ちなみに、今回視察させていただく 名高精工所様、クロスエフェクト様、最上インクス様 の場合は「京都試作ネット」という共通プラットフォームをもっており、顧客の創造そのものを仕組み化されています。

    今、考えていただきたいことは「御社は、どの様な事業戦略をお持ちですか?」ということです。

     

    ここで、よくある誤解として「新規顧客を苦労してつくらなくても、既存顧客に新商品を売ればいいじゃないか」ということが挙げられます。

    実際、一般的な営業コンサルタントの人は、「売上=客数×客単価 だから、客単価を上げるためのクロスセルをしましょう」といった様な提案をよくされる様です。

    クロスセルとは営業用語の一つで、既存顧客に「他の商品などを併せて購入してもらうこと」を指します。

    確かに、飲食店などで「ラーメンください」というお客に対して「餃子もご一緒にいかがですか?」とクロスセルすると、1/4くらいの確率で同時に購入してくれたりします。

     

    ところがBtoB営業、すなわちプロ相手の法人営業の場合、こうしたクロスセルは成り立たないケースが大半です。

    なぜならお客の立場から見た時に、こちらのことを「専門家」としてみなしてくれないからです。

     

    例えば切削工具をメインで売っている商社の営業マンが、同じお客に急に伝導商品をPRしても絶対に売れません。

    なぜなら伝導商品を専門としている商社が既に出入りしており、お客はその商品に対して、こちらの会社のことを「専門家」とはみなさないからです。

    特に高い専門性を求められる「生産財営業」の場合、「専門家」としてみなされない限りは、その商品を買ってもらえる、ということはありえません。

     

    では、どうすればその分野の「専門家」とみなされるのでしょうか?

    それは「実績」をつくるしかありません。

     

    例えば下記セミナーは、わずか従業員8名の機械工具商社が、継続的に新規開拓が行える事業戦略を構築し、事業戦略実行からわずか半年で上場会社クラスの新規優良顧客を5社口座獲得、さらにその後2年間で中堅・大手優良企業を15社口座獲得しています。

    ↓↓↓機械工具商社 工事・メンテナンスビジネスモデルセミナー

    http://www.funaisoken.co.jp/seminar/019665.html

     

    同社の場合は「工事・メンテナンス」を切り口に、優良顧客の新規開拓を進めました。

    もともと、既存顧客の中でも「工事・メンテナンス」の実績はありましたが、一部の既存顧客をのぞくと「工事・メンテナンスは御社の専門では無いでしょう」とみなされていた様です。

    ところが新規開拓においては、標準商品をPRしても絶対に切り込めません。部品加工や工事・メンテナンスなど、自社のオリジナリティーが出せる商品をPRしなければなりません。

    同社の場合は、新規開拓で「工事・メンテナンス」を訴求して実績をつくった結果、逆に既存客からも「工事・メンテナンス」の専門家としてみなされ、その結果として「工事・メンテナンス」の案件が増えています。

    先日もご担当者の方から、2000万円ちかい工事案件の内示をいただいた、と喜びの声がありました。

     

    また別の機械工具商社では、新規開拓の切り口として「工事」に力を入れた結果、既存顧客から何と3億円もの「工事」案件を受注しました。同社の場合も、まずは「工事」を切り口に新規開拓を進めた結果、その相乗効果で既存客からも「工事」の大型受注に成功しました。

    同社はリーマン・ショック前の売上のピークが年商25億、リーマン・ショックの際には売上15億円まで下がりましたが、今期は年商35億円を突破し、明らかにリーマン・ショックを機に体質改善を図り、それが功を奏しました。

    そして同社の場合、その引き金となったのが前述の3億円の受注だったのです。

     

    建築家の安藤忠雄や指揮者の小澤征爾、あるいは絶対に緩まないネジのハードロックナットなど、日本では当初売れなかったサービス・商品が海外で大ヒットした結果、日本国内でも売れる様になる、というケースは多々見られます。

    生産財営業の場合も同じで、固定概念にしばられている既存顧客に対して働きかけるよりも、自社に対して固定概念の無い新規顧客の方が取引や商談がスムーズに運ぶケースが多々あります。

     

    また見方を変えると、新規開拓ができるくらいの競争力の無い会社は、既存顧客もいずれ競争力の有る同業他社に奪われる、ということです。

    今は良くても世代が変わった時、会社としての事業戦略が確立されていなければ、現在の繁栄を継続することはできません。

    それはどの様なビジネスでも同じことです。

     

    そして、この「事業戦略」と車輪の両輪とも言える存在が「人財戦略」です。

    「人財戦略」とは、小規模・中小企業であっても優秀な人材を獲得し、育成・戦力化していく仕組みのことです。

    この「人財戦略」については、次回の本レポートで詳しく述べたいと思います。




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