2017年6月19日 00:33   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    DMG森精機は、来年2018年をめどにメイン工場である伊賀事業所の加工機の4割を、10社の外注先に移管して粗加工は全て外注先に委託する、と先週発表しました。

    伊賀事業所の既設機200台を停止し、年内にこのうち約150台を10社の協力会社に移設します。その上で鋳物などの粗加工から中仕上げまでを外部委託し、社内ではスピンドル部品など高付加価値部品の加工だけに絞り込むというのです。

    かねてからDMG森精機が全世界レベルで生産拠点の見直しを進めていました。

    昨年4月には千葉事業所を閉鎖、伊賀上野と奈良の両事業所に集約すると発表しました。

    さらに昨年9月には中国の上海工場とスイスにある子会社の工場を閉鎖し、他の工場に集約すると発表。

    しかし今回のメイン工場である伊賀事業所の加工機の4割を外部に放出する、というニュースは非常にインパクトの大きなものです。

    DMG森精機だけではありません。

    ツガミは昨年11月に、国内の工作機械3工場をメインの長岡工場に集約すると発表。

    さらに今年5月には、国内の工作機械生産そのものを、協力会社約20社に委託する、と発表しました。

    工作機械産業は、自社工場で蓄積した加工・組立技術が競争力の源泉となっているケースが多く、生産の完全外部委託というのは国内メーカーとしては極めて異例です。

    こうした動きから何を読み取ることができるでしょうか。

    まず両社とも狙いは一言で言って、「固定費の削減」ということでしょう。工作機械業界は統計上の好調が伝えられていますが、工作機械の中でも好調なのはスマートフォン向けの小型機と、自動車産業海外工場向けの専用機的工作機械です。

    つまりスマートフォンか自動車産業以外は、それほど工作機械が売れていません。じりじりと受注が減少してきている、というのが私の印象です。

    では何のために「固定費の削減」を行うのでしょうか?

    これも一言で言って、「不況対策」ということでしょう。DMG森精機にしても、ツガミにしても、今回の取組みは固定費の流動費化です。

    もう一つ、こうした動きから読み取れることは、「大手企業は先行き不安のため自社での設備投資を必要最低限に抑えている」ということです。

    現在、部品加工業界は活況ですが、その活況の裏側には、こうした大手企業の先行き見通しがあることを忘れてはいけません。

    ちなみにヤマザキマザックは、この3年くらいの生産改善の取組みにより、同社のメイン工場である美濃加茂事業所は、生産性が2倍に向上した、といいます。昨年7月に同社工場を視察する機会がありましたが「工作機械同業他社には絶対見せない」と言われる工程も視察させてもらいました。

    詳細はここに書けませんが、まさに逆転の発想で工作機械の組立方法としては“非常識”ともいえる方法でリードタイムを1/2にする取組みを行っていました。

    いまある設備・資産の生産性を上げて、大きな設備投資を伴わずに生産高を上げる考え方も、同じく固定費の流動費化であると私は思います。

    忙しい時こそ現状に満足せず、現状を否定する様な変化や生産性の向上や、新たなことに取組む文化こそが、その組織を永続させる文化になるのではないでしょうか。




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