2017年9月3日 12:41   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    今、製造業はバブルともいえる状況になっています。

    例えばLMガイド。LMガイドとは主に半導体製造装置や工作機械の位置決めに使用する直動ガイドのことですが、普通は納期1ヶ月の標準日のLMガイドが、現在では納期が7ヶ月もかかります。

    またボールネジも同様に品不足。さらにPLC、インバーター、タッチパネル、減速機といった伝導系・制御系の機器が品不足であり、特に確保が難しいのがロボット用の精密減速機です。

    こうした伝導系・制御系の機器を扱う某商社では、昨年10月から受注が売上を超え、その後はずっとこうした状況です。

    この商社では通常3~4ケ月先の注文をメーカーに入れていますが、現在では納期確保のために6~7ヶ月先までの注文をメーカーに入れています。

    こうしたことの背景にあるのがスマホや自動車の電子化に伴う、IT需要です。例えば、電子部品を基板に並べて回路を製造する実装機と言われる装置をつくる某メーカーでは、新工場を稼働させて月産200台だった実装機を400台の生産に引き上げました。

    2000年に崩壊したITバブルの時にも、同様の現象が見られました。ただしこの時は国内における半導体製造装置の特需が主な原因でした。現在のバブルは国内よりも中国・台湾など新興国におけるITがらみの設備投資特需が主な原因です。

    ですから2000年の時のITバブルよりも、より規模が大きなバブル(?)になっている可能性が高いといえます。

    この様に「今の製造業はバブルだ」という話をすると、「いや、うちはそれほど恩恵を受けていない」と言われる方がおられます。

    しかし現在の今の状況で、恩恵を受けていない業界関係者は恐らくいないでしょう。

     

    結局のところ、製造業は市況ビジネスです。

     

    一般消費者向けビジネス以上に、「景気が良い時に何をして」「景気が悪くなったら何をするのか」ということを、きっちりと考えておく必要のあるビジネスです。

    そうした中で、ある社長から興味深いお話を聞かせていただきました。この社長はメガバンク出身で広く人脈をお持ちの方なのですが、今、頭の良いゼネコンは、あえて新規開拓に力を入れているそうです。

    ゼネコンといえば建設業界ですから、製造業以上に人手不足とオリンピック特需に沸いているはずの業界です。

    ですから今、新規開拓で新たな仕事を受注しても、その仕事を請けることはできないそうです。それでもあえて新規開拓に力を入れて、今だからこそできる販路拡大に取組んでいるそうです。当然といえば当然の話ですが、周りがが忙しい忙しい、と言っている時に、同じ様に忙しい忙しいと、目の前の仕事しかやっていない、ということでは、不況になると同じ様に大きく業績を落とすことになってしまいます。

     

    そうした中で興味深い取組みが2つあります。

     

    1つは受託型の制御盤メーカーである三笠製作所(従業員25名)が主催する、制御盤世界カンファレンス2017という企画です。

    このカンファレンスは10月19日に横浜で、10月24日に名古屋で開催されます。

     

    ↓↓↓制御盤世界カンファレンス2017

    http://www.seigyobann.com/conference/

     

    今や日本で製造された設備は世界中に出荷されます。その時に電気系統はその国の電気規格に合わせて出荷することが、ますます必要になっています。

    本カンファレンスでは世界中から制御盤メーカーのキーマンを日本にあつめ、そうした最新情報を日本の設備設計者にお伝えするという企画ですが、主催は前述の通り従業員25名の中小企業です。

    あえて自社も多忙であろうこの時期に、こうした企画に取組むことが同社の意識の高さを感じます。

     

    2つ目は九州・大分県にある製缶板金加工業であるクニナリ様の取組みです。同社はこの3年間で従業員45名から70名と大きく躍進を遂げておられます。

    しかも、製缶板金加工業というのは、普通は近場から仕事を取ろうとします。その理由は製缶板金ワークが重量とスペースを要するため、遠隔地になると運賃が出ないためです。

    ですから、普通の製缶板金加工業は半径100km~200kmくらいがメイン商圏であるといえます。

    ところがクニナリ様の場合は、九州の小倉から特急で3時間、さらに車で20分以上という立地にありながら、なんと700kmも離れた本州・近畿エリアから仕事を獲得してきています。

    同社では売上の3割を九州以外の遠隔地から獲得しているのです。

     

    部品加工業というのは、今までは典型的な地域密着型ビジネスでした。しかし、現在高収益かつ伸びている部品加工業の共通点は「遠くから仕事を取れている会社」です。

    いわば、「近くのお客」よりも「遠くのお客」。

    「近くのお客」だと、どうしても振り回されます。じゃあ、この仕事もあの仕事も、と、結局のところ付加価値の低い価格競争の仕事ばかりが舞い込んでくることになります。

    その点「遠くのお客」であれば、おのずと選ばれた仕事しかきません。その選ばれた仕事が自社の強みであれば、その仕事が増えれば増えるほど、その会社は高収益化していきます。

    この様に書くと、「いや、その会社は特殊技術があるから遠くから仕事が取れるんだ」と思われるかもしれません。

    それは誤解です。遠隔地から仕事を取るのに“凄い技術(=スペック訴求)”は必要ありません。それよりもクニナリ様の様に“価値訴求”で自社に合った仕事を全国から集めてくるべきでしょう。

     

    ファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会のこの9月度定例会(東京・名古屋・大阪で開催)では、今回、クニナリ 石田社長様にお越しいただき、特別講演をいただくことになりました。

    本研究会では1社1回までにつき、無料お試し参加を受け付けておりますので、ご関心がある方は下記URLをご覧ください。

    ↓↓↓本講座の詳細と、無料お試しご参加のお申込みはこちら

    http://funaisoken.ne.jp/mt/factory-business2/100567.html#_ga=2.96119452.1029224390.1504275242-125209114.1503927706

     

    遠隔地から仕事が取れる、ということは自社の「強み」がきちんとわかっていて、その「強み」が磨きこまれている、ということです。

    今、伸びている中小企業というのは、地域密着で果たすべき「短距離戦略」と、遠隔地でも通用する「中・長距離戦略」が両立できている会社です。

    どちらかで地歩を固めた上で、この両方への取組みが必要だと私は考えています。




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    2017年8月27日 13:55   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    今年も毎年恒例の経営戦略セミナーが3日間、メイン会場をグランドプリンスホテル新高輪にて開催されました。

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    経営戦略セミナーは船井総合研究所の全社が総力をあげて企画する年に1回のイベントですが、今回は3日間で累計6043名もの経営者の皆様が全国から集結されました。

     

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    普段のセミナーや研究会では、どちらかといいますと1~3年くらいの短・中期の戦略をお伝えしているのに対して、経営戦略セミナーでは船井総合研究所の社長や役員陣、さらに外部の日本一あるいは世界一クラスのモデル企業経営者を講師として迎え、5~10年くらいの長期戦略・ビジョンを考えていただく場として企画しています。

     

    今回のコラムでは、その経営戦略セミナー2017より、特に経営者の皆様に知っておいていただきたいことを要約してお伝えしたいと思います。

     

    <メイン講座 船井総研代表取締役社長 中谷の講座より>

     

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    1.今の経営のポイント

    昨年2016年の講座でお伝えした、押さえておくべき経営の3つのポイントは次の通りでした。

    1)働き手不足対策

    2)定着率アップ対策

    3)一番企業づくり

    この流れは2017年も基本的に変わっていません。

    1)はもちろんのこと、2)も重要です。なぜならせっかく採用できた社員に辞められてしまうと、多額の「機会損失」が生まれます。

    ※注釈)社員が辞めることによる機会損失は業界によっては数値化されていますが平均すると300万円~1000万円の損失。

     

    2.働き手不足対策について

    ダイレクトリクルーティングにすぐに取組むべきです。

    ダイレクトリクルーティングとは、自社採用サイトによる直接的な採用活動のことです。リクルートやマイナビといった採用媒体のコストが劇的に上がっており、同時に採用そのものが高い競争倍率になっています。

     

    3.定着率UP対策

    採用した人が辞めることによる機会損失は、多くの経営者が考えているよりも大きなものです。特に優秀な人であればあるほどです。

    定着率UP対策に科学的に取り組んでいる世界的企業の1つにグーグルがあり、同社の調査によると定着率アップを図るために最も大切なことは「心理的安全性」です。

    つまり、この会社にずっと安心して勤めていられる、と社員に感じてもらうことが大切。

     

    4.一番企業づくり

    まず何らかの分野、場所、事業内容で一番を目指す。

    一番ができたら、次に高収益化。一番ができていないのに高収益化に取組もうとすると失敗する。

     

    5.高収益企業の条件

    狭属性で圧倒的No1をとる。高シェアというレベルではなく、独占シェアといえる事業をつくる。

    キーワードは絞り込み一番化・独占シェア。

    さらに毎月のベース売上が見込める、ストックビジネスを持つ。

     

    6.2017年の経営、3つのポイント

    1)採用のさらなるコストアップ

    あらゆる業界で、人の獲得競争がさらに激化している。

    2)デジタル化

    小売店でもチラシを見て来る人よりも、WEBを見てくる人が急速に増えている。3年前はチラシを見て来る人の方が多かったが、現在はそれが完全に逆転している。

    マーケティング面だけでなく、仕事の進め方もデジタルシフトして高生産性を追求していく必要がある。

    3)業界外の企業との競争

    タクシーの世界ではウーバーとの競争、ホテル・旅館業界でいえばエアビーアンドビーとの競争など、気づくと巨大なプラットフォーマーが突然競合として現れてくる時代になった。

    ⇒だから独占的シェアが大事!

     

    7.船井総合研究所として

    船井総研では、こうした時流の変化に対して6つのソリューションを具体的に提供しています。

    1)経営品質診断

    2)ダイレクトリクルーティング

    3)海外視察=世界一を見に行く

    4)高収益研

    5)クラウド型人事制度

    6)不採算事業の整理・売却=M&Aご支援

     

     

    <ファクトリービジネス研究会 合同分科会より>

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    中小企業経営者のための、大手企業「調達・購買」担当者をうならせる提案・プレゼンのポイント

    講師:未来調達研究所㈱ 取締役 牧野 直哉 先生

     

    1.大手企業のバイヤーから認められる上で最も大切なこと

     

    次の3つの質問に対して、明確な答えを用意しておくこと。

    質問1「競合企業と比較して、優れている点は?」

    質問2「御社の他社には負けない優位点は?」

    質問3「御社の特徴は?」

    皆様の会社は、上記3つの質問に即答できますか?

    あるいは皆様の会社の社員は、上記3つの質問に即答できますか?

     

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    2.最も悪い答え

    上記3つの質問に対して、最も悪い答えが次の2つです。

     

    多品種少量で低価格です(=最も困難な取組み)

    何でもやります、できます(=できるわけがない)

     

    本当に多品種少量が得意なのであれば、それは狙って多品種少量なのか?結果論として多品種少量なのか?

    前者なら本当の強みかもしれないが、多くの場合は後者である。

     

     

    経営戦略セミナーの中から2つの講座について抜粋してお伝えしましたが、共通していることは「自社が日本一あるいは世界一を目指せる強みをつくること」であり、言い換えれば「狭属性で圧倒的No1」「絞り込み一番化・独占シェア」を持つ、ということです。




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    2017年8月20日 15:03   カテゴリ: 片山和也の生産財マーケティングの視点     

    7月のファクトリービジネス研究会 部品加工業経営部会での特別ゲスト講師でお呼びした、二九精密機械工業の二九社長様は、この8年間で同社の売上を16億円から32億円に大躍進させた敏腕経営者です。

    その二九社長が言われていましたが、「社内で管理職を0から育成しようと思ってもうまくいかない」。

    研修だの何だの、いろいろやったけどもうまくいかない。結局外部から管理職の経験がある人を中途採用した方が圧倒的に早道である、と二九社長は言われていました。

     

    また、別の私の関係先の話ですが、ここの会社は従業員100名ほどの商社です。当初は中途社員の採用が中心でしたが、2000年代になってからは業績も安定してきたこともあり、新卒採用に切り替えました。

    そして当初採用した新卒は確かに優秀でした。それまでベテランが敬遠してきた新商品や新規開拓にも積極的に取組み、社内は当初活性化していきました。

    ところが7~8年ほどして問題が起き始めました。

    いわゆる組織マネジメントができないのです。肩書は課長なのに会議よりも営業を優先する、会議中でもお客からの電話に平気で出る、部下の指導・育成ができないなど、弊害が目につく様になりました。

    その結果、若手社員が大量に離職するなど様々な問題が起きました。

     

    新卒採用された彼ら自身の上役も、管理職としてほぼ機能していなかった為、彼ら自身も「管理職とはどの様なものか」ということをほとんど理解しないまま、管理職になってしまったことがその原因でした。

    その後、この商社でも方針を変更して新卒採用の比率を半分に抑え、抑えた分の半分は、中途のベテラン管理職を採用しました。

    現在、この商社はリーマン・ショック前の過去最高売上を更新し、今期は悲願の年商100億を達成する見込みです。

     

    結局のところ、「海を見たことが無い人」に海の説明をしても理解されないのと同様に、本当の意味でのプロ管理職を見たことが無い人、指導されたことが無い人に、プロの管理職になれ!と言っても、それは非常に難しい、というのが実情ではないでしょうか。

     

    既に存在するビジネスモデルを定着させるには新卒採用が有効です。

    あるいは既存のビジネスモデルを拡大していく為の計画的な組織拡大の為には新卒採用が必須と言えるでしょう。

     

    ただし、新たなビジネスモデルを取り入れなければならない、新たなシステムを導入しなければならない、ということになると経験者である中途採用が必須になります。

    組織を回すための管理職も、いわば新たなシステムの導入と同じことです。

     

    従って、現在の様に新たなイノベーションを取り入れなければ時代の変化に取り残されてしまう様な時代は、新卒採用と並行して中途採用が必要になります。

    これは言い換えれば、大企業が新たなノウハウを手に入れるためにM&Aに注力しているのに対して、小企業・中小企業は成功する中途採用を行うべき、ということです。

    船井総合研究所も、コンサルティング会社としては珍しく、中途採用を重視している会社です。船井総合研究所のIR資料の冒頭に、「新卒200名採用」を謳うほど、新卒採用に注力している会社です。

    しかし同時に、中途採用にも力を入れています。

    実際、全く新しいコンサルティング分野は、ほぼ中途社員が切り拓いています。その後、その分野を定着させ、拡大させる段階になると新卒社員が有効に機能します。

    逆に中途社員だけが中心のコンサルティング会社というのは、ある段階でバラバラになってしまうケースが多いです。

    要は新卒採用と中途採用のバランスが大事であり、現在は時流的にいって、優秀な中途採用をいかに行うかということが非常に大事な様に見えます。

     

    今の時代、中途採用を行う上で最も大事なのが「自社採用サイト」によるダイレクトリクルーティングです。

    なぜ“ダイレクト”なのかというと、従来は中途採用を行うにはリクナビネクストやマイナビ、あるいはアイデムなど、採用媒体を使用して中途採用を行っていました。あるいはハローワークを利用して中途採用を行っていました。

    現在はインターネットの検索エンジンに、自らキーワードを入力して就職先を探す求職者が劇的に増えています。

    例えば自分自身がマシニングセンタのオペレータで、神奈川県内で仕事を探しているのであれば、

    「マシニングセンタ オペレータ 神奈川 求人」

    などと検索するわけです。

     

    あるいは自分自身が、機械工具のルートセールスをしている営業マンで、福岡県内で仕事を探しているのであれば、

    「ルートセールス 機械工具 福岡 求人」

    などと検索するわけです。

     

    例えば神奈川県のプレス加工会社、深沢製作所(従業員数41名)の場合、この10ヶ月強で138名の中途採用の応募を受け付け、うち3名の大手企業出身・即戦力人材も含めた優秀な人材の採用に成功しました。

    同社の採用サイトには現在でも毎月10名以上の求職者から応募が来続けています。その中で、有望そうな人のみを選んで面接を行っていますので、いわゆる補充採用ではなく、優秀な人がいたら採用するというスタイルをとっています。

     

    また、福岡県にある地域密着型の商社(従業員25名)の場合も、自社採用サイトを立ち上げ、約4ヶ月間で52名の応募を獲得、うち28歳の男性1名と、32歳の男性1名、計2名の採用に成功しました。

     

    こうした、「自社採用サイト」によるダイレクトリクルーティングのメリットは下記の通りです。

     

    1)ハローワークからの求職と比べて、断然にレベルが高い。

    2)リクナビネクストなどの求職媒体の場合は、採用のたびにコストが発生するが、自社採用サイトであれば一度立ち上げればほとんどコストが発生しない。

    3)地元エリアからの求職応募獲得に有利である。

    4)業界・業種を狙い撃ちしやすい。

    5)何よりも確実に求職者が確保できる。求職媒体の様に、多額のコストをかけながら空振りに終わる、といったリスクが無い。

     

    私ども船井総合研究所 ファクトリービジネスグループでも、部品加工業向け、また機械工具商社向けに、こうしたダイレクトリクルーティングの成功事例がでてきましたので、それぞれの業界向けに人手不足対策セミナーを企画いたしました。

     

    ↓↓↓部品加工業向け 人手不足対策セミナー

    http://www.funaisoken.co.jp/seminar/022468.html

     

    ↓↓↓機械工具商社向け 人手不足対策セミナー

    http://www.funaisoken.co.jp/seminar/022467.html

     

    インターネットの世界は、マーケティング同様に先行者利益が享受される業界です。先ほど述べた自社採用サイトによるダイレクトリクルーティングについても、ライバルが本格的に行っていない現在がチャンスだと思います。

     

    ぜひセミナーへのご参加をご検討ください。




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